モデルと言っても過言ではないほどスタイル抜群で容姿端麗な彼。
一度見たら目に焼き付いて離れられないほど魅力的な人。



「何……。俺に何か用?」



翔の不機嫌な眼差しは、自分の噂話をする二十代前半くらいの女性二人組へと向けられる。
焦った咲は翔の気を逸らす為に腕を引く。



「翔くん。噂話なんて気にしないで行こう!」



周囲の目から避けるにはこうする他なかった。
悪い噂をされている訳じゃなかったけど、翔くんは人の目が気になるのかな。




初デートは失敗しないように前々からプランを練っていた。
最高潮な時間を最高に素敵な彼氏と過ごしたい。

苦労して彼女の座を得たのだから、ここからが本当のスタートになる。



咲は先行く翔の隣に追い付いて歩幅を合わせると、上目遣いで言った。



「私、最近新しくオープンしたラテアートのカフェに行きたいな」

「駅から徒歩五分のところだっけ?店名が思い出せないな」


「確か《LINK》だった気がする」

「いいよ、行こうか」



会話が成立しただけでも嬉しくて、気持ちは今にもパンク寸前に。

本当はカフェなんてどうでもいい。
翔くんと一緒なら何処にいても幸せ。
三年間一途に思い続けていたから、夢が叶っただけでも嬉しい。