ーーまだ窓の外は明るいけど、手元の時計を見たらもう17時に。

夏期講習は明日もあるし、そろそろ家に帰らなきゃね。



愛里紗はキリのいいところで勉強道具を片付けて帰り支度を済ませ、リビングに居る理玖の母親に『お邪魔しました』と挨拶をして理玖と一緒に玄関を出た。


昼間より暑さは和らいだけど、クーラーが効いていた涼しい部屋から出た途端、ムワッとした猛烈な湿気に襲われて身体中の汗が一気に噴き出す。






帰り道、理玖はいま通っている高校の話など、楽しい話題を入り交ぜて話を始めた。
そんなひと時が楽しかったりもして。



自宅まで徒歩10分。
お互いの家同士は結構近い。

だけど、地区の関係で小学校は別々。
中学校に上がって初めて理玖と知り会った。



彼は昔と変わらず、別れた今も家まで送ってくれる。
それが彼の中でこだわっているルールだとか。