ーーところが、数日後。

愛里紗が教室に入る手前から、男女の賑やかな会話が廊下まで響いていた。



「やだ〜っ。橋本くんったら〜」

「嘘じゃないってぇ。マジでカワイイって」

「ホントに〜?ねぇ、どんな所が?」



愛里紗は教室内に入ると、既に着席している理玖は後部座席の知らない女子とじゃれあっていた。
ナンパ調の軽いノリにポカンと開いた口が塞がらない。




理玖とは久しぶりに会ったけど…。

やっぱり始まった。
チャラくて軽い奴の悪いクセが。



理玖は軽いタッチから会話に入る。
それがいい所であり、悪い所でもある。
元カノの自分も饒舌なトークに騙されてしまったのだろうか…。



だけど、みんなに平等。
みんなに優しいし、みんなを笑わせてくれる。

だから、彼を嫌う人はいない。


自分が知る範囲では、みんなは愛想が良くて笑顔が可愛らしい理玖が大好きだった。



「あ、来たきた。……よっ、愛里紗」

「あんたさぁ、未だにナンパしてるの?」



愛里紗は冷ややかな目つきを向けると、理玖は鼻高々と自慢気に言った。



「…まぁ、挨拶程度って感じ」

「自慢かよっ」



もう…、理玖ったら知らない女の子とすぐ仲良くなっちゃって。
相変わらずチャラいなぁ。