指定された部屋に入ると、定員二十人ほど中規模の教室内に四人着席している。
座席指定がないので、とりあえず後ろの席に座った。

それから、およそ10分。
座席はほぼ満席状態に。




キーン コーン カーン コーン…



時間になるとチャイムが鳴った。
慣れない雰囲気にソワソワしていると、バタバタと駆け足で入室してきた人が私の横に立つ。



「すいません。隣の席、空いてますか?」



隣からの人影は、低い声で空いてる席へと指を差す。



「空いてます………よ…」



愛里紗が隣の人を見上げた瞬間、驚愕するあまりに思考が停止した。

驚いているのは愛里紗だけじゃない。
隣に立つ人物も目を丸くしている。





彼の顔は、目を奪われるほどの超イケメン。
服装は個性的でオシャレ。
そして、今年の春に駅で派手にぶつかったあの人物。



ーーそう。

彼は中学の時に交際していた、元彼の橋本理玖だった。



「愛里紗。…マジかよ」

「理玖………」



私達は偶然に偶然を重ねた春以来の再会に驚き、言葉を失わせた。



こうして私達は、母に無理矢理連れて行かれた塾の教室内で、自然消滅してから二度目の再会を果たした。