ーー翌朝。

咲の親友の愛里紗が一組の三人組に対して一喝したという噂は、回りに回って咲の耳に入った。

登校したばかりの咲は、教室に入るなり一目散で愛里紗の元へと駆け寄る。



「愛里紗…、噂を聞いたよ。昨日、私の悪口を言っていた子に対して注意してくれたんだってね。愛里紗が友達で本当に良かったよ。ありがとう」

「だって、親友の悪口言われたら誰だって嫌でしょ。気分悪かったからついカッとなって言いたい事全部言っちゃったよ」



と、平然とした口調で伝えたけど…。
実際は怖くて足がガタガタ震えてたけどね。

すると、咲は感無量になり口元を震わせながら今の気持ちを吐き出した。



「……愛里紗。だーい好き!ずっと私の親友でいてね。約束だよ!」



咲はガバッと開いた腕を回して愛里紗にギュッと抱きつく。



咲はこんなに素直で可愛いのに…。
きっと、彼女達は咲が羨ましいに違いない。



愛里紗も咲の背中に腕を回してギュッと抱きしめた。



「ずっと親友だよ。約束ね」



二人は意思疎通をして友情を深めていた。



咲は特別な存在。

毎日生み出してくれる笑顔にいつしか支え続けられていた。
私にほんの些細なアクシデントが訪れても、咲は自分の事を後回しにしちゃうほど心配してくれる。
そして、いつも傍に居てくれる。

だから私は強くなれた。




ーー愛里紗達は一学期の終業式を終えて通信簿を受け取ると、長い長い夏休みへと突入した。