相手は三人。
強気な態度に出つつも内心怖い。
咲どころか自分も何かを言われてしまうかもしれないけど、咲を守りたい一心で行動を起こす事に。
「咲の何が悪いの?咲があなた達に何か嫌な思いをさせたり言ったりしたの?……咲の事を何も分かってないクセに悪口なんて許せない」
正義感満載の愛里紗を視界に捉えた三人組は、バツが悪そうにお互いの顔を見合う。
「マジ?」
「やっべ…」
彼女達は廊下で何度か見た事ある程度。
名前とか全く知らない。
だから、初っ端から喧嘩腰で突っかかって行くのはかなり勇気が必要だった。
「陰でコソコソ悪口を言わないで、直接本人に言えばいいじゃん!それに、咲は男子に色目なんて使ってない。勘違いしてるのはあなた達の方なんじゃないの?」
愛里紗は握り締めた拳を震わせながらも、言いたい事は全て伝えた。
情けない事に怖くて足がガクガク震えてる。
ところが、三人組は謝ったり反省したりするどころか、不機嫌そうな表情で付近に置いている自分達の荷物を持って愛里紗の方へと足を進める。
「ばっかじゃねーの」
「友情ごっこかよ」
「あーあ。ご馳走様ですぅ」
三人組は愛里紗とのすれ違いざまに、次々と捨て台詞を吐いて教室から出て行った。
愛里紗は悔し涙を浮かばせたまま扉横に佇む。