ーーしかし、バレンタインの日からおよそ一ヶ月後。
そう……。
高二になった今でも忘れはしない、六年間の小学生生活を締めくくる最後の卒業式の日。
彼の両親は離婚。
そして、様々な荒波を乗り越えてようやく想いが届いて、一緒に幸せを満喫していたはずの彼は、引き裂かれるように長年暮らしていたこの街から姿を消し…。
利己的な大人の都合によって運命が翻弄されてしまった。
社会的にも、経済的にも、肉体的にも、精神的にもまだ未熟で力不足の十二歳の私と彼は………。
あれから、もう二度と会えなくなった。
私と彼の人生は、まるで太陽の光をたっぷり浴びて七色に光り輝きながら空高く舞っていたシャボン玉が、互いにぶつかり合い、その衝撃で瞬く間に弾けてしまい……。
恰も最初からシャボン玉が存在しなかったかのように、跡形もなく、音も立てずに静かに消え去っていくかのようだった。