学校が終わると、手作りチョコクッキーが入っている紙袋を持って、彼と約束している神社に向かった。
谷崎くんに告白をしに行ったあの日ほどではないけど、今日も胸がドキドキしている。
バレンタインという事もあって、恋する女の子にとっては特別な一日だ。
神社から徒歩で2〜3分の距離に住んでる彼は、私よりも先に鳥居の下で待っていた。
手には先日の誕生日にプレゼントした手袋を身につけている。
待っている彼自身も、教室で見た他の男子達と同じように、ソワソワしているように見えた。
愛里紗は紙袋を後ろに隠しながら、翔の元へ小走りで向かう。
「谷崎くん。お待たせ」
「……あれ?こんなに寒いのに、手袋をしてないの?」
「あ、うん。急いで家を出たから手袋をしてくるの忘れちゃった」
こんな些細な会話でも、寒そうに身体を揺さぶっている彼の瞳は何処と無く落ち着きがない。



