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「愛里紗が生まれた頃は今ほどブームじゃなかったんだけどね」



台所で母親とそんな話をしながら、彼に渡すバレンタインのチョコ作りを手伝ってもらった。



今年は彼氏が出来てからの初めてのバレンタイン。
友チョコは何度か作った事があるけど、本命チョコは今回が初めて。

彼氏に渡すチョコは前々から手作りだと決めていた。



つい先日、谷崎くんに誕生日プレゼントを渡した時は喜んでくれたから、きっとバレンタインチョコも喜んでくれるはず。
チョコを受け取った姿を想像するだけでも自然と顔がにやけちゃう。



楽しそうにチョコレート製作に取り掛かる娘の姿を見た父親は、不自然に『ゴホン』と咳払い。
多分ヤキモチ。



手作りクッキーに溶かしたチョコレートでコーティング。
チョコの上には、ナッツやチョコスプレーやトッピングシュガーに、カラフルなチョコペンで模様を書く。

彼に喜んでもらえる姿を思い浮かべながら一生懸命作った。


ラッピング材料は、雑貨屋さんでお母さんと相談しながら一緒に選んだもの。
完成したチョコをベージュの箱の中に丁寧にしまって、最後は紙袋に入れて完成。



母親には彼の事を報告済み。
親友のように何でも話した。

だから、まるで自分の事のようにチョコ作りを手伝ってくれた。