正月明けの学校では、およそ二週間ぶりに会った友人同士の会話が途絶えない。
クリスマスプレゼントやお年玉の話など、各々話題が満載だ。
更にしんしんと降り積もる雪にクラスメイトのテンションは上々。
教室内では寒さを一掃するほどの賑わいを見せていた。
「校庭に雪が積もったら何して遊ぶ?」
「雪合戦!」
「私はかまくらを作りたい」
クラスメイトは雪遊びをそれぞれ満喫するつもりでいる。
そんな最中、登校したばかりの谷崎くんと目が合うと、テレパシーを送るように目配せをした。
『後で会おうね』
すると、彼は返事をするようにニッコリ微笑む。
それは、私だけに向けられた特別な笑顔。
彼の笑顔一つで私の顔も自然とほころぶ。
幸せ。
勇気を出して告白して良かった。
私と彼はクリスマスイブの日に交際を始めたばかりだけど、いつの間にかクラス中に噂が広がっていた。
でも、もう冷やかす人はいない。
カッター事件で男を上げた彼。
緊迫していた状況下で迅速に対応した事が、みんなの心に強く根付いていた。
いつしか二人は公認の仲になり、冷やかされていた以前とは違って、温かく見守ってもらえるようになっていた。