愛里紗は思い切って気持ちを伝えたところまでは良かったが、翔の驚愕している表情を見た瞬間、良からぬ考えが脳裏を過ぎった。



神社で二人きりで過ごす事が当たり前になり、過ぎ行く日々と共に恋心を育み幸せを噛み締めていた。

それは、お金には変えられないくらい価値がある時間。



だけど、逆読みすると大事なものを一瞬にして失ってしまうリスクがあった。
もし告白が失敗してしまったら、友達関係すら厳しくなってしまうだろう。



告白自体に後悔はない。

だけど、失敗する事を考えたら…。
二人の関係がこの瞬間に崩れ去ってしまったらと思ったら、急に怖くなった。




愛里紗は不安のあまり俯き加減で瞳に涙を浮かべた。
いま少しでも顔を動かしたら涙が溢れてしまいそうなほどに……。


ところが、そんな胸中など知らない翔は、愛里紗にそっと顔を近づけて上目遣いで顔を覗き込んだ。



「ありがとう。嬉しいよ。俺もずっとお前が好きだったから」



翔はまるで太陽のように温かい笑顔で愛里紗にニコリと微笑んだ。