愛里紗は握り拳を作って一度気合を入れた。



気持ちは一つに固まっている。
いっときの迷いもない。
後は一歩先に突き進むだけ。



「あのねっ……。今から谷崎くんに大事な話があるから聞いてくれる?」



それまでおっかなびっくりだった愛里紗の表情が一変すると、翔はギョッとする。



「う…うん。どうした?」



愛里紗の迫力に戸惑う翔だが、話を聞く体制が整う。
一方の勢いの波に乗った愛里紗は、告白する環境が整った。



行こう!
チャンスは今しかない。

今さら引き下がれないし、引き下がるつもりもない。
彼はどんな話が飛び出すのかを待ってくれている。



愛里紗は意を決すると、指先の色が変わるほどギュッと拳を強く握りしめ、嘘偽りない気持ちと向き合う。

恋を育んできたこの神社という特別な場所を選び、今日まで一日も欠かさず温めてきた翔への恋心を思い切って伝える事に。



「私…、谷崎くんが好きっ!」

「えっ…」



愛里紗の告白がストレートに届けられると、翔は大きな目を更に見開いた。