彼の自宅方向に目をやりながら鳥居の前で待ち続けているけど、彼はなかなか姿を現さない。
気焦りしているせいか、心の中の時計が乱れがちに。



今日は終業式だから午前授業だったし、ノグとミキがうちに来て話をして、みんなで自宅を出る頃は14時を過ぎていた。

お昼ご飯をとっくに食べ終えて、神社に来てもおかしくないはず。



彼の到着を待っている時間、色んな想いが脳裏を過ぎる。
不安で押し潰されそうな気持ちの傍らで、彼がまだ姿を現さない分、ホッとしている部分も持ち合わせている。





すると、愛里紗の不安を打ち破るかのように、翔は背後から姿を現した。



「ねぇ、さっきから誰を探してるの?」



翔はまるでかくれんぼをしているかのように突然ヒョイと姿を現すと、愛里紗は驚いて身体がビクンと揺れ動いた。
 


…ドキン

私の(ハート)はとても正直。



境内を満遍なく見ても見つからなかったから、彼の自宅方向を向いてずっと待ち構えていたのに…。
彼が姿を現したのは、先ほど見たはずの本殿側だった。