「実は私、谷崎くんの事が好きだったの」
「うん……」
「だから、転校生のあーりんが谷崎くんと仲良くしている姿を見て、羨ましくなってヤキモチを妬いちゃって。あーりんが嫌いな訳じゃないけど、上履きを隠せばあーりんが困るかなと思って」
「………」
「だって谷崎くん、女子とはマトモに話そうとしないし、女子の中ではあーりんにしか笑わないんだもん…」
「えっ、それはミクの思い違いだよ。谷崎くんはよく笑ってるよ?」
「まさか…、あーりん気付いてないの?」
ミクは愛里紗の鈍感さに目をパチクリさせた。
ミクったら、谷崎くんが私にしか笑ってないって話が少しオーバーだな。
瞳に映る彼はいつも笑顔。
神社ではモチロン。
学校でも目が合う度に優しく微笑んでくれる。
愛里紗は翔が笑顔でいる姿が日常化していたので、ミクの話が少し大袈裟に思えていた。