「俺の彼女になってよ、鈴」
「っ、」
その嘘のない真っ直ぐな瞳と言葉に、ぶわーっと感情が込み上げてきて、思わず奏に抱きついた。
もうずっと、他の誰かのものだと思っていた"彼女"というポジション。
「ぅぅっ・・・うんっ」
そう返事したと同時に背中に手がまわって、ぎゅっと力強く抱き締められた。
「あーー、やっと手に入った」
奏・・・
今まで我慢してきた想いが、涙となって溢れて止まらなくて、私も奏の背中に回した手に力を込めた。
「・・・鈴、顔上げて?」
「無理っ。・・・今ぐちゃぐちゃだから」
そう言うと、私の背中にまわっていた腕が離れて、私たちの間に隙間ができた。
顔を上げたくなくて下を向いていると、温かい手が私の頬を挟んで、ゆっくり上に向けた。


