「・・・っはぁぁーー。んだよ、俺、めちゃくちゃだせーじゃん」
そう言いながら、右手で髪をグシャっと掴んで、左肘を膝につく形でまたベンチに座り込んだ。
マジか・・・と小さく呟いている奏。
「・・・・・・ははっ」
もう、なんだか可笑しくなってきて、笑い声が漏れた。
すると、拗ねた子犬みたいな顔で奏がこっちを向いた。
「鈴・・・、抱き締めていい?・・・・・・ってか、抱き締めるわ」
返答する間も無く、グッと距離を詰めて、私を腕の中に閉じ込めた。
ドクン、ドクン
どちらの音かわからないくらい私たちの間で大きく、でも心地良く響く。
「俺のせいで拗らせてごめん。・・・遠回りしたけど、俺、本当にずっと鈴が好きだった」
そう言って少し体を離すと、私と視線を絡ませた。


