君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜



「っいや・・・ちょっと待って鈴、・・・」


「っ奏、これからも幼なじみとしては、よろしくね!っじゃあ、家の用思い出したから、私先に帰るね!」



「ちょっ!鈴っ!」



ーーー限界だった。


このまま話していたら、奏の前で絶対涙が溢れていたから。

無理やりだったけど、もう逃げ出したかった。


最後に見た、奏の困惑した顔が脳裏に焼き付いている。



これでいい。

これでいいんだ。



奏とは、今度こそ本当に"ただの幼なじみ"として接するの。




「っ、」



頬が濡れるのを感じながら、奏が見えなくなるまで必死に走った。




あー・・・そっか。



私、まだ奏のこと好きだったんだ・・・



どれだけ拭っても止まりそうもない涙が、その証拠だった。