十也くんは、最後に清々しい顔を見せて出口に向かって歩いて行った。 十也くん・・・ こんな私をずっと好きでいてくれて、本当にありがとう。 十也くんにも素敵な人が現れますように。 そんな思いを込めて遠くなる背中を見送った。 「鈴?」 懐かしさを感じる少し不安げな顔で覗き込んできた奏。 「行こう、奏」 繋いだ手をぎゅっと握り返して笑いかけると、 「おう」 さっきまでの不安そうな顔は、嘘だったのかと思うくらいの嬉しそうな笑顔を見せてくれた。