視線が絡まると、ゆっくりとこっちに向かって歩いてくる。
「鈴、私、先行ってるね。荷物預かるよ」
蘭ちゃんは、私の背中をポンポンと優しく叩くと私から荷物を受け取って、先に階段を降りて行った。
それに反応することもできないくらい、絡まった視線を逸らせずにいた。
私も無意識にゆっくりと体が前に進む。
コツコツと革靴を鳴らして歩いてくる背の高い彼は、グレーのジャケットとスラックスのセットアップに身を包み、黒のインナーの上にはお揃いのリングネックレスが映えている。
髪は軽くセットされていて、少し艶があり、カッコ良さに更に磨きがかかっていた。
その証拠に、遠慮がちな黄色い声が所々で上がる。
距離が近づいて、はっきりと顔が見えると、ぎゅっと胸が締め付けられ、鼻の奥がツーンとした。
気づいたら私は階段の中段まで降りていて、その二段下に彼は立っているけど、視線は同じ高さで絡んだまま。
こっちは、今にも顔が崩れそうだというのに、目の前の整った顔は優しく口角が上がっていた。


