「・・・だってよ、ちゃんと聞いてたか?」
そう言って勇也くんは自分のスマホを私の前に出した。
画面を見ると、「奏」の名前と通話中を表す表示だった。
え・・・
それを見て一気に涙が引っ込む。
「ごめん、鈴ちゃん。俺が勝手に電話繋いでたんだ。今日で卒業だし、奏も話したいだろうと思ってさ」
「あ・・・うん」
「てことで奏、俺たち外すからふたりでごゆっくり。あ、鈴ちゃん、外で待ってるから終わったら持って来て」
「え・・・あ、わかった・・・」
「鈴、外で待ってるね」
少し目を赤くした蘭ちゃんも笑顔で勇也くんと一緒に教室から出て行った。
シーンと静まり返る教室。
ど、どうしよう、まさか奏と今話すことになるなんて・・・
嬉しいはずなのに、突然のことで心の準備ができていなくて、通話中のスマホを前に、言葉を発せず狼狽えていた。
無言の数十秒がとてつもなく長く感じる。


