歩けないって、マジで言ってんの?
本当に?・・・俺が?
歩けないって・・・いや、冗談だろ・・・?
それじゃあバスケもできねーってこと?
いやいや、俺からバスケ取ったら、何が残んだよ・・・。
・・・頼むから、誰でもいいから、嘘だって言ってくれ。
悪い夢でも見てたんだなって。笑ってくれよ・・・頼むから・・・
歩けないかもしれないと告知された次の日の朝も、俺は現実を受け止めきれずにいた。
そうだ、・・・鈴。
鈴の声が聴きたい。
日本はもう日付が変わる頃だと思ったが、構わず電話をかけていた。
『もしもし!奏?』
割とすぐに聞こえてきた久しぶりのその声に目頭が熱くなる。
何も変わらない、鈴の声。
歩けないなんて、やっぱり夢だったんじゃないかって思えた。


