愛があなたを見捨てたとしても

「いや、高2って、わたしと同じだから…」


ゴホン、と咳払いをして続ければ、今度はハンバーガー男が目を丸くさせた。


「え、同学年?」

「はい。17歳です」

「うわ」


…えっ?

今この人、“うわ”って言った?

同い年だって分かっただけなのに、何でそんなに嫌そうな反応をするの。

まあ、確かに背も高くて大人びた雰囲気のハンバーガー男に比べたらまだまだ子供の自覚はあるけれど。


「ちょっ、何ですか“うわ”って!」


そんなことを考えながら、わざとらしく頬を膨らませてみる。


「いや、同い年に見えなかったから」


そんなわたしの表情を見ることもなく、ハンバーガー男は肉じゃがを頬張りながら口を開く。


「からかってます?」

「そうじゃないけど」


そこで、ようやく肉じゃがを飲み込んだハンバーガー男が顔を上げた。

わたしのわざとらしい表情に気づいたはずなのに、何か言うわけでもなく微かに目を細める。


その目はわたしを通り越し、我に返ったかのようにぐるりと部屋中を見渡して。

そして、

「…お前、家族、帰って来ねぇの」

やんわりと、話の内容を変えられてしまった。


「へっ、」


不意打ちに投げ掛けられた質問に心の準備が出来ていなくて、素っ頓狂な声が漏れる。