殺すように、愛して。

「瀬那、俺の前では我慢しなくていいんだよ。唾液を垂らすことも、気持ちよくなることも、嘔吐することも」

 苦しくて気持ち悪くて吐きたいんだよね。いいよ。全部出しても。俺が手伝ってあげるから。黛の行きすぎた言動は止まらず、や、あ、とせめてもの抵抗を口で示したところでその声が届くはずもない。高揚しているようにも見える彼は俺を強制的に嘔吐かせるように、唾液で満たされた口内を犯す人差し指と中指を限界まで押し込んだ。それだけでも既に吐きそうになっているのに、止めを刺すように舌根を押されてしまえば堪えられるはずもなくて。胃のムカムカが極限まで達し、口から涎ではないグロテスクな液体が吐出された。一度吐いてしまったら、吐き切るまで嘔吐くのを抑えられなかった。

「気持ちいいね、瀬那。すっきりするね、瀬那。醜態を晒してる瀬那も可愛いね」

 手や制服をどろどろに汚されても顔色一つ変えない黛は、涙や涎、吐瀉物で醜く顔を汚しているであろう俺の頬を、口に指を突っ込んだまま舌先で舐めた。あ、は、と指を咥えさせられたまま熱い息で喘いでばかりいる俺は、完全に黛に流され、黛に飲み込まれていた。どう足掻いても、黛には勝てない。

 不安や恐怖のせいか、それとは別の何かのせいか、不規則に体を痙攣させてしまう俺は、流涎と嘔吐をしたまま憔悴していた。体に力が入らない。自分でも、自分がどこを見ているのか分からない。目の焦点が合わないというのは、こういうことを言うのかもしれない。黛の肩越しに生徒会室の様子が見えているはずなのに、まるで何も見えていないようなふらふらした状態で。普通だったら嫌悪感を抱いてしまうような言動が続いているにも関わらず、その感情を胸に抱く心の余裕もなかった。与えられなかった。思考を全部奪われているかのよう。