朝に言われた黛の言葉がずっと頭にちらついていて、それを無視して彼らの後をついていくことはできなかった。相手が不審感を覚える黛であっても、そんな黛だからこそ、蔑ろにできないのだ。先に予約のようなものを入れていたのも黛だったため、優先順位は必然的に彼になってしまう。
自分勝手なことを言って一時的に誘いを断る俺を見る彼らは、そっか、うん、分かった、と各々頷きはしたものの、他に何か言いたげに唇を開きかけては引き結んだ。やっぱり不満でもあるのだろうかと、恐る恐る、様子を窺うように首を傾げてみせるが、鳴海のその用事が済むまで俺らはここで待ってるから、と出しかけた言葉を呑み込み、入れ替えて、その場を乗り切られてしまったら、無理に追及することはできなかった。
勝手でごめん、ありがとう、できるだけ早く済ませてくるから、と急いでノートやルーズリーフをまとめてカバンに入れ、それごと手にして彼らの横を通り過ぎた時、気をつけてな、と俺を案ずる声が耳に届いた。その意図が読めず、え、と足を止めて振り返ると、俺から見て右端にいる彼が、普段よりも明らかに大人しそうな、心配そうな顔で俺を見て言葉を続けた。
「おかしいから、黛は。違ってたら悪いけど、その黛のところに行くんだろ? だから、誰からの呼び出しとか言わなかったんだなって。俺らに気を遣ってくれたなら申し訳ない……。ごめんな、鳴海……」
自分勝手なことを言って一時的に誘いを断る俺を見る彼らは、そっか、うん、分かった、と各々頷きはしたものの、他に何か言いたげに唇を開きかけては引き結んだ。やっぱり不満でもあるのだろうかと、恐る恐る、様子を窺うように首を傾げてみせるが、鳴海のその用事が済むまで俺らはここで待ってるから、と出しかけた言葉を呑み込み、入れ替えて、その場を乗り切られてしまったら、無理に追及することはできなかった。
勝手でごめん、ありがとう、できるだけ早く済ませてくるから、と急いでノートやルーズリーフをまとめてカバンに入れ、それごと手にして彼らの横を通り過ぎた時、気をつけてな、と俺を案ずる声が耳に届いた。その意図が読めず、え、と足を止めて振り返ると、俺から見て右端にいる彼が、普段よりも明らかに大人しそうな、心配そうな顔で俺を見て言葉を続けた。
「おかしいから、黛は。違ってたら悪いけど、その黛のところに行くんだろ? だから、誰からの呼び出しとか言わなかったんだなって。俺らに気を遣ってくれたなら申し訳ない……。ごめんな、鳴海……」



