俺は、俺は、俺の、せいでも、あんな、合意のない行為を、俺は、許したくなんかない。オメガだから、オメガだから仕方がない、で、済ませたくない。済ませたく、ないのに、今、とてつもなく、死にたくて、死にたくて、死にたくて、仕方がない。黛。俺、もう、変だ。やっぱり、変だ。もう、狂ってる。黛に、縋る時点で、もう、もう、おかしい。ずっと、おかしい。ずっと、ずっと、おかしかったんだ。ずっと。ずっと。ずっと。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。

 おえ、と何度も嘔吐いて喉を広げ、汚い声を漏らし、死にたくて死にたくて死にたくて、喉に突っ込んでいた指を抜いた俺は、舌を噛んで唇を噛んで爪を噛んで指を噛んで甲を噛んで脈を噛んだ。ボタンをちぎるように破られた制服の袖を捲って、包帯を無造作に引っ張って解き、表れた切り傷だらけの手首に歯型を加える。すとんと床に落ちた腰は、父親に穿たれたことを思い出すように震えていた。抜けていた。恐怖からだった。

 自分の肉を食すように皮膚を噛む。痛さよりも死にたい気持ちの方が強く、それで死ねるはずもないのに自棄になって、噛んで噛んで噛んで噛んで噛んだ。カッターナイフなど、簡単に傷をつけられるものが手元にない今は、歯で自傷することしか頭になくて。食いちぎるように歯を立て、それを皮膚にめり込ませ続ける俺の目からは、苦しいのか悲しいのか悔しいのか嬉しいのかすら分からない涙が溢れ出していた。今に始まった話ではないのに、脆い堤防でもなんとか堰き止めていた感情が、一度引いて一気に押し寄せる波のように壁を破壊し、情緒が安定しなくなる。