失禁させられた彼の耳に、黛の声が届いている様子はなかった。あ、あ、と頭を抱えて錯乱している。彼に声をかけられるような余力のある人はいなかった。
黛は、自分が彼らに暴行を加えたことに対して罪悪感一つ感じていない目で、瀬那、と俺をその瞳に閉じ込めた。ぶるりと体が震える。目が合うだけで、何も考えられなくなってしまいそうだった。黛が、アルファが、俺を、オメガを、おかしくさせる。
「まゆずみ……」
吐息混じりに名前を呼ぶ。漢字を知らない小さな子供のような呼び方になってしまった。はぁ、はぁ、とアルファの強烈な匂いと黛の眼差しが俺の息を荒くさせ、黛という漢字が分からなくなるほど思考を鈍らせているかのよう。
まゆずみ、あるふぁ、まゆずみ、まゆずみ、あるふぁ、まゆずみ、と黛を求めているのかアルファを求めているのか自分でもよく分かっていない俺は、オメガという性に犯されていた。体が熱くて熱くて熱くてたまらない。匂いが濃くて濃くて濃くてたまらない。アルファが欲しくて欲しくて欲しくてたまらない。自分がおかしくておかしくておかしくてたまらない。
「発情してる瀬那、可愛いね。でも、俺に内緒で隠れて発情するなんて、悪い子だね」
ベータの彼らに向けていた目の色と、今俺に向けている目の色が全く違う黛は、彼の視線だけでビクビクしてしまう俺の頬を撫で、その手で首を絞めた。殴られ蹴られた彼らとはどこか違う呻き声が漏れ、息苦しさに心臓が縮み上がる。
また、まゆずみ、また、まゆずみは、まゆずみ、おれの、くびを、まゆずみ、まゆずみ、くるしい、まゆずみ。
黛は、自分が彼らに暴行を加えたことに対して罪悪感一つ感じていない目で、瀬那、と俺をその瞳に閉じ込めた。ぶるりと体が震える。目が合うだけで、何も考えられなくなってしまいそうだった。黛が、アルファが、俺を、オメガを、おかしくさせる。
「まゆずみ……」
吐息混じりに名前を呼ぶ。漢字を知らない小さな子供のような呼び方になってしまった。はぁ、はぁ、とアルファの強烈な匂いと黛の眼差しが俺の息を荒くさせ、黛という漢字が分からなくなるほど思考を鈍らせているかのよう。
まゆずみ、あるふぁ、まゆずみ、まゆずみ、あるふぁ、まゆずみ、と黛を求めているのかアルファを求めているのか自分でもよく分かっていない俺は、オメガという性に犯されていた。体が熱くて熱くて熱くてたまらない。匂いが濃くて濃くて濃くてたまらない。アルファが欲しくて欲しくて欲しくてたまらない。自分がおかしくておかしくておかしくてたまらない。
「発情してる瀬那、可愛いね。でも、俺に内緒で隠れて発情するなんて、悪い子だね」
ベータの彼らに向けていた目の色と、今俺に向けている目の色が全く違う黛は、彼の視線だけでビクビクしてしまう俺の頬を撫で、その手で首を絞めた。殴られ蹴られた彼らとはどこか違う呻き声が漏れ、息苦しさに心臓が縮み上がる。
また、まゆずみ、また、まゆずみは、まゆずみ、おれの、くびを、まゆずみ、まゆずみ、くるしい、まゆずみ。



