途切れ途切れ。発情期など関係なく、欲情し切った声を出し、スマホを耳から離して。机の上に置こうとしたところで、気づいた。両手を使えなくしたら黛の声を近くで聞くことができなくなってしまうんじゃないか。黛がこっちに向かってきてくれている間も、俺は彼を感じていたいのだ。その瞬間を、少しも逃したくはないのだ。
机の隅に無造作に置いていた、白いシンプルなイヤホンを引っ掴み、結び目を解いてスマホに挿してから、捩れをなるべく少なくして両耳に装着する。俺の下手な実況のようなそれに、黛は何も返してくれなかったが、両耳から感じる彼の存在感や気配は、それだけで俺を夢中にさせた。まゆずみ。まゆずみ。まゆずみ。膨れ上がる肉欲は、俺を内側からも外側からも蝕んでいっているようで。それを俺は密かに、無自覚に、喜んでいた。
ミュートにはされていないらしく、微かな音をイヤホン越しに耳にしながら、俺は後ろ手で自らを拘束しようとネクタイを手首に巻きつけた。だが、そう簡単にはできず、やっとできたと思っても、きつく結べないためにすぐに解けてしまう。まゆずみ、まゆずみ、できない、と思うようにいかないことに半べそになりながら、それでも、自分を拘束することに意識が向いているために、俺の手は触らずに済んでいるのだった。
まゆずみ、まゆずみ、と泣いて縋るように、無言になっている彼の名前を口にし続ける。満足のいく拘束はいつまで経ってもできなくて。自分でできたとしても、きっと黛じゃないと満たされなくて。まゆずみ、まゆずみ、まゆずみ。訳も分からずに、同じ言葉を、名前を、気が狂ったように呼び続けた。その途中で、割り込むように。瀬那。脳髄を震わすほどの、黛の声が、両耳から鼓膜を通り、全身の神経を、血液を、滾らせた。ガクンと膝の力が抜け、想像以上の衝撃に眩暈がするほど酔った。気持ち悪い、ではなく、恍惚とするほど気持ちいいと感じる酔いだった。
机の隅に無造作に置いていた、白いシンプルなイヤホンを引っ掴み、結び目を解いてスマホに挿してから、捩れをなるべく少なくして両耳に装着する。俺の下手な実況のようなそれに、黛は何も返してくれなかったが、両耳から感じる彼の存在感や気配は、それだけで俺を夢中にさせた。まゆずみ。まゆずみ。まゆずみ。膨れ上がる肉欲は、俺を内側からも外側からも蝕んでいっているようで。それを俺は密かに、無自覚に、喜んでいた。
ミュートにはされていないらしく、微かな音をイヤホン越しに耳にしながら、俺は後ろ手で自らを拘束しようとネクタイを手首に巻きつけた。だが、そう簡単にはできず、やっとできたと思っても、きつく結べないためにすぐに解けてしまう。まゆずみ、まゆずみ、できない、と思うようにいかないことに半べそになりながら、それでも、自分を拘束することに意識が向いているために、俺の手は触らずに済んでいるのだった。
まゆずみ、まゆずみ、と泣いて縋るように、無言になっている彼の名前を口にし続ける。満足のいく拘束はいつまで経ってもできなくて。自分でできたとしても、きっと黛じゃないと満たされなくて。まゆずみ、まゆずみ、まゆずみ。訳も分からずに、同じ言葉を、名前を、気が狂ったように呼び続けた。その途中で、割り込むように。瀬那。脳髄を震わすほどの、黛の声が、両耳から鼓膜を通り、全身の神経を、血液を、滾らせた。ガクンと膝の力が抜け、想像以上の衝撃に眩暈がするほど酔った。気持ち悪い、ではなく、恍惚とするほど気持ちいいと感じる酔いだった。



