「俺のオメガを襲ったからこうなるんだよ」
我に帰ったように頬を押さえ崩れ落ち、痛みに顔を歪める彼らは、自分を殴った人物の声を聞き、恐る恐る見上げて、興奮が一気に冷めるかのように顔を青くさせた。
「あ、あ……、ま、ゆず、み……、まっ、ちが、これは……」
一人が焦ったように何かを言いかけたが、黙れと言わんばかりに体に爪先を捻じ込ませた黛によって、それ以上は言葉にならず、消失。代わりに、唸り声。俺は、黛を、目の前の、アルファを、見て、発情が、悪化。
黛は、まだ、俺を無視する。無視、する。むし。違う。違う。いいんだ。それでいいんだ。それでいいのに。視界に入れてくれない方がいいのに。こんな乱れた姿、見られない方がいいのに。俺は何を期待して。
「黛、ほ、本当に、これは、オメガ、の、鳴海、の、フェロモンの、せいで……」
蹴られた彼の言葉を引き継ぐように別の人が恐る恐る声を上げたが、それは黛を刺激するものでしかないらしく、彼もまた、容赦なく黛に腹部を蹴られて呻いた。
「何言っても、お前らが瀬那を襲った事実は変わらないよ」
既成事実を突きつけ、あと、と続けた黛は、こうなったのはオメガである俺のせいだと責任を押し付けた彼の左肩を、人を蹴ったばかりの足で壁に押さえつけた。怯える彼を見下ろす黛の目は冷たい。
「俺じゃないお前が瀬那のフェロモンのせいするなんて、おかしいね。瀬那のせいにしていいのは俺だけだよ。だからこれは、瀬那のせいじゃなくて、お前自身のせい」
我に帰ったように頬を押さえ崩れ落ち、痛みに顔を歪める彼らは、自分を殴った人物の声を聞き、恐る恐る見上げて、興奮が一気に冷めるかのように顔を青くさせた。
「あ、あ……、ま、ゆず、み……、まっ、ちが、これは……」
一人が焦ったように何かを言いかけたが、黙れと言わんばかりに体に爪先を捻じ込ませた黛によって、それ以上は言葉にならず、消失。代わりに、唸り声。俺は、黛を、目の前の、アルファを、見て、発情が、悪化。
黛は、まだ、俺を無視する。無視、する。むし。違う。違う。いいんだ。それでいいんだ。それでいいのに。視界に入れてくれない方がいいのに。こんな乱れた姿、見られない方がいいのに。俺は何を期待して。
「黛、ほ、本当に、これは、オメガ、の、鳴海、の、フェロモンの、せいで……」
蹴られた彼の言葉を引き継ぐように別の人が恐る恐る声を上げたが、それは黛を刺激するものでしかないらしく、彼もまた、容赦なく黛に腹部を蹴られて呻いた。
「何言っても、お前らが瀬那を襲った事実は変わらないよ」
既成事実を突きつけ、あと、と続けた黛は、こうなったのはオメガである俺のせいだと責任を押し付けた彼の左肩を、人を蹴ったばかりの足で壁に押さえつけた。怯える彼を見下ろす黛の目は冷たい。
「俺じゃないお前が瀬那のフェロモンのせいするなんて、おかしいね。瀬那のせいにしていいのは俺だけだよ。だからこれは、瀬那のせいじゃなくて、お前自身のせい」



