オメガが誰なのか知りたいという誰もが抱くであろう好奇心のようなもので足を踏み入れ、その目的をたった今達成したとしても、それで、はい、オメガは同じクラスメートの奴でした、であっさり事が終わるほど甘くはないことくらい、欲望に塗れた彼らの目を見れば一目瞭然だった。
オメガは誰なのか、から、孕ませたい、に目的が変わる瞬間。俺はその一瞬の出来事に出会している。
逃げられないと分かっているのに、それでも逃げようとする俺を、明らかに興奮している彼らが見て見ぬふりをするはずがなくて。オメガ、孕ませたい、と壊れた機械のように繰り返す彼らの手が、六本の手が、それぞれ別の場所に触れ、発狂しそうになっている俺を襲った。
頬。髪。首。手。腰。腿。それぞれ感触の違う手に気が狂ってしまいそうで、それなのに体は、ようやく他者から与えられた刺激に悦ぶように震えていた。いやだと言っても、やめてと言っても、彼らの耳には届かず、必死の抵抗も空を切るように虚しく終わる。
不規則に這い回っていた手が探り当てるように服の下に滑り込み、あ、という間もなく、何重にも巻いている包帯に触った。それでも、彼らの暴走は止まらなかった。
紺のブレザーが肩から落ちる。彼らと同じ色のネクタイを緩められる。誰にどこを触られ、自分が誰のことを押し退けようとしているのかすら分からず、頭がこんがらかっていた。思考が脳内で絡み合って、解けなくなる。目の前がぐるぐると回っている感覚すらして。気持ち悪い。涙や鼻水や涎が止まらない。拭えず、啜れず、飲み込めず、垂れ流す。
オメガは誰なのか、から、孕ませたい、に目的が変わる瞬間。俺はその一瞬の出来事に出会している。
逃げられないと分かっているのに、それでも逃げようとする俺を、明らかに興奮している彼らが見て見ぬふりをするはずがなくて。オメガ、孕ませたい、と壊れた機械のように繰り返す彼らの手が、六本の手が、それぞれ別の場所に触れ、発狂しそうになっている俺を襲った。
頬。髪。首。手。腰。腿。それぞれ感触の違う手に気が狂ってしまいそうで、それなのに体は、ようやく他者から与えられた刺激に悦ぶように震えていた。いやだと言っても、やめてと言っても、彼らの耳には届かず、必死の抵抗も空を切るように虚しく終わる。
不規則に這い回っていた手が探り当てるように服の下に滑り込み、あ、という間もなく、何重にも巻いている包帯に触った。それでも、彼らの暴走は止まらなかった。
紺のブレザーが肩から落ちる。彼らと同じ色のネクタイを緩められる。誰にどこを触られ、自分が誰のことを押し退けようとしているのかすら分からず、頭がこんがらかっていた。思考が脳内で絡み合って、解けなくなる。目の前がぐるぐると回っている感覚すらして。気持ち悪い。涙や鼻水や涎が止まらない。拭えず、啜れず、飲み込めず、垂れ流す。



