両親とはもう親子らしい会話は交わしていなかった。俺はともかく、両親も、なんとなく俺を避けているのだ。二人に植え付けられた恐怖心はいつまでも拭えず、未だビクビクと怯えてしまう時もあるが、暴力を振るわれることは明らかに減っている。何度考えてみても、黛のおかげだろう。黛のおかげだった。黛のおかげで、俺は無駄に傷まずに、痛まずに、済んでいる。由良とも気後れせずに、話せるようになっている。その由良は今、母親と一緒にいるのだろうか。それとも、この隣の部屋だろうか。
相も変わらず何もせず、引きこもりのように部屋から一歩も出ずに椅子に座り、ふと、気づく。昼寝の前、黛のことを考えながら抜いてしまった後に発生した丸めたティッシュが、床からなくなっていることに。不思議に思いゴミ箱を覗いてみると、それらしい塊が収まっていた。誰が片付けてくれたのか。あの汚いものを。俺が寝ている間に、誰かが部屋に入ってきたのだろうか。それで、弾かれていたゴミに気づいて処理してくれた。一番に頭に浮かんだのは、いつも俺を案じてくれる、優しすぎるほどに優しい由良だった。きっと由良だろう。由良で間違いない。恥ずかしいものを処理させてしまったが、後でお礼を伝えようと頭の片隅に由良への感謝をメモする。由良には感謝しなければならないことばかりだ。
癖のように膝を抱え、再度確かめるように項に触れて。意味もなくじっとする。雪野はきっとまだ生きている。電話には出ないだろうが、それでも、一縷の望みにかけてみようかと思った。番の解消をするための連絡はもうしてくるなといったニュアンスを含んだ言葉をぶつけられてはいたが、もう既に何回もかけているのだから今更遠慮したところで何も変わらないだろう。側に由良はいないが、これは俺の問題なために独断で動いた。
相も変わらず何もせず、引きこもりのように部屋から一歩も出ずに椅子に座り、ふと、気づく。昼寝の前、黛のことを考えながら抜いてしまった後に発生した丸めたティッシュが、床からなくなっていることに。不思議に思いゴミ箱を覗いてみると、それらしい塊が収まっていた。誰が片付けてくれたのか。あの汚いものを。俺が寝ている間に、誰かが部屋に入ってきたのだろうか。それで、弾かれていたゴミに気づいて処理してくれた。一番に頭に浮かんだのは、いつも俺を案じてくれる、優しすぎるほどに優しい由良だった。きっと由良だろう。由良で間違いない。恥ずかしいものを処理させてしまったが、後でお礼を伝えようと頭の片隅に由良への感謝をメモする。由良には感謝しなければならないことばかりだ。
癖のように膝を抱え、再度確かめるように項に触れて。意味もなくじっとする。雪野はきっとまだ生きている。電話には出ないだろうが、それでも、一縷の望みにかけてみようかと思った。番の解消をするための連絡はもうしてくるなといったニュアンスを含んだ言葉をぶつけられてはいたが、もう既に何回もかけているのだから今更遠慮したところで何も変わらないだろう。側に由良はいないが、これは俺の問題なために独断で動いた。



