自ら与える快楽に蕩け、周りが見えなくなり、頭の中が黛に犯される。黛が俺を見下ろしている。黛が俺の肌に触れている。黛が指で口内を掻き回している。黛が腰を撫でている。黛の手が服の下に潜り込む。黛が包帯を解こうとする。黛が首筋に顔を近づける。黛が頬に唇を寄せる。黛が唇を犯す。黛が擡頭したそれに触る。黛が首を絞める。黛が寸止めをする。黛が言葉で攻める。黛が瀬那と呼ぶ。黛が自由自在に俺を達かす。黛の前で腰を揺らす。黛の前で欲を出す。黛の手の中に熱を射精す。黛が俺を視姦する。黛が俺の液を舐める。黛がそれを飲み込む。黛が俺に噛みつく。黛が俺の項に噛みつく。黛が。黛が。黛が──
自身の手に付着した、どろどろとした液を見る。はぁ、と熱い息を吐く。罪悪感を抱きながらも余韻に浸る。発情期でもないのに、俺は黛をおかずに自慰をした。黛、と口が動いた。小さく呟いた。ティッシュで汚い手を拭いた。後処理をしているうちに、一時的な快楽は過ぎ去った。虚しさと寂しさだけが体に残った。都合よく黛は来なかった。何も解決はしなかった。何も変わらなかった。自分を慰めただけだった。
服を整え、丸めたティッシュをゴミ箱に投げ入れる。つもりだった。弾かれた。外れた。入らなかった。床の上に落ちた。出したものを吸い取ったティッシュを見下ろした。眺めた。動かなかった。拾う気力も湧かなかった。何もする気が起きなかった。無意識のうちに机の上に置いていたスマホからは、やはり何の音沙汰もなかった。
黛。黛。呟いて、考えて、また、膝を抱えて。包帯の上から項を触る。ここに残っているであろう噛み跡は黛のものではない。妄想の中で黛は俺を噛んでも、現実では彼の跡なんかついていない。番が彼に変わったわけではない。そんな奇跡は起こらない。起こるはずもない。俺の番は雪野のままだ。
自身の手に付着した、どろどろとした液を見る。はぁ、と熱い息を吐く。罪悪感を抱きながらも余韻に浸る。発情期でもないのに、俺は黛をおかずに自慰をした。黛、と口が動いた。小さく呟いた。ティッシュで汚い手を拭いた。後処理をしているうちに、一時的な快楽は過ぎ去った。虚しさと寂しさだけが体に残った。都合よく黛は来なかった。何も解決はしなかった。何も変わらなかった。自分を慰めただけだった。
服を整え、丸めたティッシュをゴミ箱に投げ入れる。つもりだった。弾かれた。外れた。入らなかった。床の上に落ちた。出したものを吸い取ったティッシュを見下ろした。眺めた。動かなかった。拾う気力も湧かなかった。何もする気が起きなかった。無意識のうちに机の上に置いていたスマホからは、やはり何の音沙汰もなかった。
黛。黛。呟いて、考えて、また、膝を抱えて。包帯の上から項を触る。ここに残っているであろう噛み跡は黛のものではない。妄想の中で黛は俺を噛んでも、現実では彼の跡なんかついていない。番が彼に変わったわけではない。そんな奇跡は起こらない。起こるはずもない。俺の番は雪野のままだ。



