殺すように、愛して。

 俺に噛み跡をつけた雪野の行方が知れない。安否も知れない。死んでいれば、俺の体に何か変化があるのだろうか。経験したことなんてないから、想像もつかない。それで本当に解消できるのか、今更不安になってくる。雪野と一緒にいるかもしれない黛の行方だって知れない。黛。黛。どこにいるの。早く会いたい。もう、噛んでほしい。身体は黛がいいと、もう、ずっと前から言っている。最近になって、それを自覚した。黛が、俺をそうした。そういう身体にした。責任取って、噛んで。捨てないで、噛んで。側に、置いておいてほしい。側に、いてほしい。黛。俺を、いつまでも、放置しないで。黛。黛。会いたい。黛。

 情緒が安定しなくなる。黛を思えば思うほど、体が熱くなり、同時に寂しさを感じ始める。気を紛らわせたくて、めちゃくちゃに入り乱れている頭をどこか遠くへ飛ばしたくて、それが一時的であっても忘れたくて、もう何も考えたくなくて、俺は、彼を思うだけで熱を持ち始める自分に自分で触り、強い刺激を与えた。自然と切なげな声が漏れた。口を押さえた。何をしているのだろうと思った。でも止まらなかった。ごちゃごちゃしたもの全部を忘れたくて、一心不乱に扱いた。我慢できなかった。いつの間にか自身の指を食んでいた。黛の指だと妄想した。発情期ではなかった。発情期のせいではなかった。発情期による性欲ではなかった。発情期が原因ではなかった。発情期を言い訳にはできなかった。ダメだと分かっていても、後悔すると分かっていても、堰を切ったように溢れ出す欲を抑えられなかった。