殺すように、愛して。

 深く抉るように切り付けた。何度も何度も皮膚を切り裂いた。もしかしたら噛み跡よりも酷い傷跡が残ってしまうかもしれないと今になって思ったが、どうせ全身傷だらけなのだ。変わらない。どうってことない。死のうとして自らつけたものなのだから自業自得でしかない。全身の傷を、俺は一生背負って生きていかなければならないのだと考えて、考えたら、思わず自嘲してしまった。傷はもう消えない。消せない。俺の体に、皮膚の上に、残ったまま。

「運命だったとしても、望んで番になったわけじゃない。望んで噛んでもらったわけじゃない。だから、番の解消をお願いした。でも、当然のように、承諾してもらえなかった。それで、自棄になって、衝動的に、死のうとした。もうどうでもよくなって。オメガは罪なんじゃないかと思って。その性である俺は生きてること自体が罪なんじゃないかと思って。俺がいるから周りの人がおかしくなるんじゃないかと思って。黛も。雪野も、運命の番だった雪野も。アルファに固執するあの二人も。それこそ、俺のせいで、人が死んだり人が人を殺したりするのが堪えられなかった。死にたかった。死にたくて、死にたくて。死が、欲しかった。死が、明るい光だった」

 ごめん。由良、ごめん。俺、由良のこと、全然考えられなかった。本当にごめん。ごめんなさい。纏まりのない言葉で、感情のままに事実と本音を早口に話し、今一度、無自覚に道連れにしてしまいそうだったことを由良に謝罪した。ごめん、と頭を下げて由良を一瞥すると、彼はゆるゆると、やめて、謝らないで、大丈夫だよ、とでも言うように首を左右に振った。