ただでさえ忙しい看護師の手を煩わせ、困らせ、ストレスを与えていると分かっていても、もう自分で自分を制御できなかった。あ、は、はぁ、と息も絶え絶えになりながら看護師の手を免れ、ベッドから零れ落ちそうになった時、視界の片隅で捉えていた病室の扉が、誰かに感情をぶつけられるかの如く乱暴に開け放たれた。蹲るように前屈みになって胸を押さえ、喉を押さえ、もしかして、と淡い期待を抱いてそこへ目を向けるが、俺が望んだ相手の姿はなかった。まゆずみ、まゆずみ。違う。まゆずみじゃない。違う。彼は。視線がぶつかった彼は。俺の弟だ。まゆずみじゃない。
肩で息をし、感極まったような、泣き出しそうな表情で俺を見つめ、俺だけを見つめ、駆け寄ってくる由良に、今にも落ちそうになっていた俺は支えられるように抱き締められていた。俺の存在や形を確かめるような力強い抱擁。汚れるのもお構いなしに俺を掬い上げ、よかった、よかった、と心底安心したように息を吐く由良の柔らかい声音が、擽るように鼓膜を揺らす。由良の温かさが触れている箇所から全身に広がり、張り詰めて緊張していた体が瞬きの間に緩和していくのを実感した。何もよくないのに、何も解決していないのに、よかった、と震える声で口にする由良の台詞が胸を痛く突き、深く突き、どうしようもなく涙が溢れ出す。
「兄さんが死んだら、俺も死ぬ。そう言ったのに、俺を、忘れないで。死なないで。俺のことなんかどうでもいい、死んでもいい、勝手に死ねばいい、邪魔なだけだって思ってるのかもしれない。それでも、俺は、兄さんが死ぬのは、嫌だ」
肩で息をし、感極まったような、泣き出しそうな表情で俺を見つめ、俺だけを見つめ、駆け寄ってくる由良に、今にも落ちそうになっていた俺は支えられるように抱き締められていた。俺の存在や形を確かめるような力強い抱擁。汚れるのもお構いなしに俺を掬い上げ、よかった、よかった、と心底安心したように息を吐く由良の柔らかい声音が、擽るように鼓膜を揺らす。由良の温かさが触れている箇所から全身に広がり、張り詰めて緊張していた体が瞬きの間に緩和していくのを実感した。何もよくないのに、何も解決していないのに、よかった、と震える声で口にする由良の台詞が胸を痛く突き、深く突き、どうしようもなく涙が溢れ出す。
「兄さんが死んだら、俺も死ぬ。そう言ったのに、俺を、忘れないで。死なないで。俺のことなんかどうでもいい、死んでもいい、勝手に死ねばいい、邪魔なだけだって思ってるのかもしれない。それでも、俺は、兄さんが死ぬのは、嫌だ」



