いてほしい時に黛がいないことが、黛以外の番になってしまったことが、絡んだ糸を力づくで解きに行くように、黛が俺に背中を向けたことが、これほどまでに精神的なショックとなって襲いかかってくるとは思わなかった。思わなくて、ますます混乱した。代わりに俺を殺してほしいのに、血が出るまで噛んでほしいのに、それを叶えてくれる相手がいない。俺が望んだ相手がいない。まゆずみ。まゆずみ。まゆずみ。まゆずみは、戻って来ない。
嘔吐や流涎、嗚咽、鼻水で、顔面をぐちゃぐちゃに汚しながら発狂する。看護師が何かを言っているような気がするが、俺の耳には言葉として入って来なかった。ただの雑音のようで。声ではないただの音のようで。何を言っているのか分からない。よく聞こえない。俺の意識は落ち着かない。落ち着かなくて、結果、俺の脳内は、混乱の元凶でもある黛のことでいっぱいになっていた。黛に、俺ではない別の誰かを殺してほしくなくて。黛に、俺を殺してほしくて。黛に、噛んでほしくて。黛に、縋りつきたくて。黛を、止めたくて。俺に正気を取り戻させようとしている看護師の手から逃れようと躍起になった。まゆずみまゆずみまゆずみまゆずみ。勝手に口から零れ落ちる彼の名前を呪文のように唱え続けながら。
嘔吐や流涎、嗚咽、鼻水で、顔面をぐちゃぐちゃに汚しながら発狂する。看護師が何かを言っているような気がするが、俺の耳には言葉として入って来なかった。ただの雑音のようで。声ではないただの音のようで。何を言っているのか分からない。よく聞こえない。俺の意識は落ち着かない。落ち着かなくて、結果、俺の脳内は、混乱の元凶でもある黛のことでいっぱいになっていた。黛に、俺ではない別の誰かを殺してほしくなくて。黛に、俺を殺してほしくて。黛に、噛んでほしくて。黛に、縋りつきたくて。黛を、止めたくて。俺に正気を取り戻させようとしている看護師の手から逃れようと躍起になった。まゆずみまゆずみまゆずみまゆずみ。勝手に口から零れ落ちる彼の名前を呪文のように唱え続けながら。



