首を絞めて興奮する黛と、首を絞められて興奮する俺。二つの磁石がお互いを引き寄せ合いくっつくように、一定の距離を保ち向かい合っていただけの凹凸が、突如磁気を帯びてかちりと嵌まる音が聞こえた気がした。意識すればするほど大きな波が押し寄せ、本当に死んでしまいそうなほどの欲が大量に解き放たれてしまったら、そこからはもう記憶が曖昧で、断片的で、専ら崩壊の一途を辿っていくだけだった。

 まゆずみ。まゆずみ。まゆずみ。気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。もう気持ちいいことしか考えられない。きもちい。きもちい。まゆずみ。まゆずみ。は、は、こわれる。こわれる。とぶ。きもちい。

 あまりの快楽に気を失いかけている俺の意識を保たせるように、舌を噛んで、頬を打って、耳を舐めて、喉を突いて、唾を飛ばして、髪を掴んで、指を食んで、涎を飲んで、首を触って、何度も何度も寸止めを食らわして、何度も何度も達かして、何度も何度も殺しかけて、俺を思うままに、好きなように弄ぶ黛に、喘ぎ声も出なくなるくらい憔悴して壊れるほどに抱き潰され、瀬那、可愛いね、とお決まりの文句と共に指の甲で頬を撫でられ唇を奪われたところで、俺のぐらついていた意識は完全に暗闇の中に飲み込まれていった。飛んで、落ちてしまう最後の最後まで、強烈な快楽に全身を蝕まれ、食い尽くされながら。