金切り声で叫ぶ母親が、本人にとっては誰だか知らない人物を見て、誰、誰、誰、誰よあんた、やめて何してるのふざけないで、と芽生える恐怖を怒りに変えるように髪を振り乱して黛に近づいた。が、当然止められるはずもなく。ほぼ片手間にあしらうように突き飛ばされる。床に尻餅をつく母親を一瞥するも無視をする黛は、あっという間に虫の息になっている父親を殴り殺さんばかりに手を加え続けた。父親の顔面は赤く腫れあがっている。ところどころ流血までしていて、黛の加減のなさが垣間見えた。その遠慮も罪悪も慈悲もない一方的な暴行に動悸がして。魅入って。明らかに常軌を逸しているのに、黛から目が離せなかった。黛、と手を伸ばしたくなる。
まるで死んでしまったかのように力が抜けて動かなくなった父親を容赦なく甚振ることに早くも飽きてしまったのか、死にかけているために興醒めしてしまったのか、ゴミを捨てるように父親から手を離した黛は、今度は標的を母親に変えた。怯える母親。瀕死の父親。息を潜める由良。恍惚とする俺。まだ俺を見てくれない黛。まだ、まだ、俺は、黛に、放置されている。黛、黛、黛。気が済んだら、俺を見て。どうでもいいから、俺を見て。泥沼に、嵌まっていく。黛、黛、黛。俺を、見て。
母親に詰め寄る黛は、一切の逡巡を得ることなく乱暴に髪を掴み、父親と同じように躊躇なく顔面を打った。女だろうが男だろうが、黛には関係ない。女だからと言って手加減するほど、彼は甘くないのだ。
まるで死んでしまったかのように力が抜けて動かなくなった父親を容赦なく甚振ることに早くも飽きてしまったのか、死にかけているために興醒めしてしまったのか、ゴミを捨てるように父親から手を離した黛は、今度は標的を母親に変えた。怯える母親。瀕死の父親。息を潜める由良。恍惚とする俺。まだ俺を見てくれない黛。まだ、まだ、俺は、黛に、放置されている。黛、黛、黛。気が済んだら、俺を見て。どうでもいいから、俺を見て。泥沼に、嵌まっていく。黛、黛、黛。俺を、見て。
母親に詰め寄る黛は、一切の逡巡を得ることなく乱暴に髪を掴み、父親と同じように躊躇なく顔面を打った。女だろうが男だろうが、黛には関係ない。女だからと言って手加減するほど、彼は甘くないのだ。



