それを知った今、ただの装飾品としか思えなかった。でも俺は、その装飾品に、装飾品だと認識を改めても尚、心の安寧を求めてしまうのだろう。包帯と同じように、首輪もまた、俺にとってなくてはならない必需品と化していて。項を守るにはガードが緩いと気づかされ全身が冷えたとしても、今後も外では首輪を身につけることに変わりはなかった。そうしないと気が狂う。狂いそうだった。
首輪も包帯も、手放せない。首輪をつけていても、警戒心を緩めてはいけない。肝に銘じておく必要があった。オメガ用の首輪を入手したとしても。油断してはいけない。
そう言い聞かせ、首輪を握り、深呼吸を繰り返して。意識的に気を引き締めた。と、その時。誰かが廊下を踏むような音を耳が拾い、思わず息を呑む。気配が動いて近づく音に、胸がざわざわと気色悪く脈打った。
「……足音、こっちに向かって来て」
「降りてきたでしょ、由良。どこで何してるの。まさか彼奴と一緒にいるんじゃないでしょうね」
俺と同じように音に気づいた由良の声に被さるようにして響いた母親の声。その声に一気に身の毛がよだつ。動悸がする。逃げないと。逃げなければ。そうしないと。見られて。父親を呼ばれて。暴力を振るわれて。更に傷をつけられて。殺されて。心を、殺されて。殺される。
訪れるであろう事の顛末が電撃の如く脳内を駆け巡り、そのあまりの恐ろしさに、未だ恐怖を感じる事柄に、体が震えて。自分を守ろうと、逃げようと、目が玄関の方へと向いた。逃げる。逃げる。逃げる。それしかできない。俺はそれしかできない。できなくて、できないのに、膝が笑って、力が入らない。動かない。立ち上がれない。
首輪も包帯も、手放せない。首輪をつけていても、警戒心を緩めてはいけない。肝に銘じておく必要があった。オメガ用の首輪を入手したとしても。油断してはいけない。
そう言い聞かせ、首輪を握り、深呼吸を繰り返して。意識的に気を引き締めた。と、その時。誰かが廊下を踏むような音を耳が拾い、思わず息を呑む。気配が動いて近づく音に、胸がざわざわと気色悪く脈打った。
「……足音、こっちに向かって来て」
「降りてきたでしょ、由良。どこで何してるの。まさか彼奴と一緒にいるんじゃないでしょうね」
俺と同じように音に気づいた由良の声に被さるようにして響いた母親の声。その声に一気に身の毛がよだつ。動悸がする。逃げないと。逃げなければ。そうしないと。見られて。父親を呼ばれて。暴力を振るわれて。更に傷をつけられて。殺されて。心を、殺されて。殺される。
訪れるであろう事の顛末が電撃の如く脳内を駆け巡り、そのあまりの恐ろしさに、未だ恐怖を感じる事柄に、体が震えて。自分を守ろうと、逃げようと、目が玄関の方へと向いた。逃げる。逃げる。逃げる。それしかできない。俺はそれしかできない。できなくて、できないのに、膝が笑って、力が入らない。動かない。立ち上がれない。



