黄金色の髪の毛をもつ双子の転校生はあっという間にクラスの人気者になった。


銀太は鼻筋が通ったイケメンだし、金子は目がクリッとした美人だし、ふたごということも相まって他のクラスからも現物客も多かった。


「へぇ、あれが転校生?」


廊下の窓を開けて気分転換をしていたところに佳苗がやってきた。


「なんだ、佳苗ももう知ってるのか」


「下級生や上級生にも話が伝わってるみたいだよ」


学校という組織内での情報の速さに目を剥いている間にも、双子たちは生徒に囲まれて楽しそうに会話している。


「それにしても双子に囲まれるなんて災難だね」


「わかってくれるか」


佳苗の憐れむような視線を受けて盛大にため息をついてみせた。


転校生が隣にいることは構わないのだけれど、ふたりに囲まれたことに大いに問題がある。


まず、教科書問題。


これは仕方のないことなんだけれど、ふたりとも教科書を持っていないから、僕が見せることになる。


ふたりは僕の机に自分の机をピッタリとつっくけて教科書を覗き込んでくる。


その距離が近すぎてこっちは勉強所ではないのだ。