「誰か……っ！」


どうにか声を振り絞って叫んだ、そのときだった。


ガラッとドアが開いて大股で入ってきたのは金子と銀太のふたりだった。


銀太はすでにひょうたんを小脇にかかえていて、口をこちらへむけている。


「き、金子に銀太！」


「やっほー。今日も怪異おでましね？」


金子はどこか楽しそうに言う。


実際にその表情は生き生きとしていて笑っている。


銀太は勝手に描き足されている絵を睨みつけて近づいてくる。


「本当に、この学校は怪異が多くて困るな」


グチグチと文句を言いながらひょうたんを向けて……そのまま動きを止めた。


金子が困ったように首をかしげて瞬きを繰り返している。


「ど、どうしたんだよ？　昨日みたいに、やっつけてくれよ！」


そうしている間にも動くことができない僕は全身に冷や汗をかいていた。


怪異と接しているせいか、体が重たくて仕方ない。