あやかし学校

無駄な抵抗だと笑っているのかもしれない。


時速100キロで追いかけてくることを忘れたのかと、あざ笑っているのかもしれない。


テケテケが逃げる僕の両足にしがみついてきた。


傷口を押さえられる形になって激痛は走る。


また意識を失いそうになって、強く頭をふってどうにか耐えた。


「金子……銀太……ごめん。お前たちがあのときのキツネだったなんて……気が付かなくて……」


誰もいない空間に謝罪言葉が消えていく。


最後の力を振り絞ってなにを言っているんだと、自分でも思う。


もっと大切なことがあったんじゃないかと。


だけど伝えたかった。


ずっと守ってきてくれたのに、ごめん。


凶悪な妖怪だって思い込んで、ごめん。


ふたりは全然そんなことなかったのに。


僕を、学校の先生や生徒を守ってくれていたのに。