あやかし学校

玄関先で見送る祖母に手を振って車が動き出したときだった。


不意に庭の奥から2匹のキツネが姿を見せたのだ。


『じいちゃん見て! キツネだよ!』


『ほぉ、こんなところまで来るなんて珍しいな』


キツネは2匹並んでこちらへペコリと頭を下げたようにみえた。


僕はそれだけで舞い上がってしまって、車の中ではずっとキツネの話をしていた。


もちろん、家に戻ってからもだ。


なんで、今まで忘れてたんだろう。


あんなに楽しかったのに。


あんなにお礼を楽しみに待っていたのに。


思えばあの双子が来たときに黄金色の髪の毛だと思ったんだった。


キツネは妖狐という妖怪にもなる。


これがふたりのお礼だったんだ。


少し考えればわかったことだったのに……。