そして茶色い毛が全部出てきたとき、僕はボワボワで先が白い尾っぽを見たんだ。
そうだった。
あれは犬じゃなくて、キツネだったんだっけ。
雪の中から出てきたキツネは一目散に広場から逃げ出した。
雪の上に小さな足跡が転々と残っていき、やがてその姿は森の中へと消えていった。
あの晩、僕は嬉しくなって祖父母にその話をしたんだ。
『あのね、今日キツネを助けてあげたんだよ!』
『そうか、そりゃあいいことをしたな。きっと、将来お礼をしに来てくれるさ』
祖父はそう言って僕の頭をなでてくれた。
いつかお礼をしに来てくれる。
そう言われたときとてもうれしくて、そしてキツネからのお礼を楽しみにしていたのに、月日を重ねるごとにすっかり忘れてしまっていた。
そして家に帰る日のこと。
僕は祖父の運転する車で空港まで連れて行ってもらうことになっていた。
そこから先は他の用事で一足先に家を出ていた両親と同流して帰宅する。
『またね、おばあちゃん!』
そうだった。
あれは犬じゃなくて、キツネだったんだっけ。
雪の中から出てきたキツネは一目散に広場から逃げ出した。
雪の上に小さな足跡が転々と残っていき、やがてその姿は森の中へと消えていった。
あの晩、僕は嬉しくなって祖父母にその話をしたんだ。
『あのね、今日キツネを助けてあげたんだよ!』
『そうか、そりゃあいいことをしたな。きっと、将来お礼をしに来てくれるさ』
祖父はそう言って僕の頭をなでてくれた。
いつかお礼をしに来てくれる。
そう言われたときとてもうれしくて、そしてキツネからのお礼を楽しみにしていたのに、月日を重ねるごとにすっかり忘れてしまっていた。
そして家に帰る日のこと。
僕は祖父の運転する車で空港まで連れて行ってもらうことになっていた。
そこから先は他の用事で一足先に家を出ていた両親と同流して帰宅する。
『またね、おばあちゃん!』



