はぁ……。


学校に行きたくないな。


爽やかな風を感じる朝の登校風景に僕は大きくため息を吐き出した。


行き交う車や足早に会社へ向かうサラリーマンを横目で見つめて、ひとりとぼとぼと歩く。


その足はとても重たくて、一歩前に踏み出すだけでも疲れてしまう。


「おはよぉ浩司！」


そんな僕の気持ちを知る由もない元気な声が後方から聞こえきて足を止めた。


振り向くと幼馴染の佳苗が小走りに駆け寄ってきた。


走る度にポニーテールが揺れて本物のポニーみたいだ。


「おはよう。今日も元気だな佳苗は」


ため息交じりに言うと佳苗が背中を強く叩いてきた。


想像以上の強さに思わずつんのめって転びそうになってしまう。


「痛いなぁ、なにするんだよ」


顔をしかめて文句を言っても佳苗はいつもの笑顔を浮かべている。


「浩司は最近ずっと元気なさそうだよね。どうかした？」


「ちょっとな。色々あるんだよ」


と、またため息。