「ここを使っているのか?」

 ややあって、将軍が重い口を開いた。

「そうです。侍女ですから、それ相応の部屋でなければなりません」

 この際、わたしの部屋に無断で入り、くまなくチェックをしていることに関して突き詰めるのはやめておいた。

「きれいになっている」

 彼は、わたしの嫌味に気がつかなかったらしい。見当違いのことを言った。

「当然です。生活するわけですから、快適にすごせるように掃除をし、物を置き直しました」
「ああ、そうか」

 彼はそう言うと、一つだけある窓に近づいた。