「『お下がり令嬢』と『ひきこもり王子』って、最高にお似合いだと思わないか?」
「ええ。最高にクールね」

 彼の真っ赤な顔が近づいてきた。

 瞼よ。瞼を閉じなきゃ。ほら、恋愛小説の中のレディはみんな閉じているじゃない。

 でも、ちょっと待って……。

 クロードの真っ赤な顔から外野、つまりロランと二頭の馬に目を向けた。クロードがわたしの視線を追っているのを感じる。

 二人で見た瞬間、ロランと二頭の馬があらぬ方向へ顔を向けた。