「弟によろしくな」

 バカ男のかすれ声が背中にあたった。

「ひきこもり王子によろしくね」

 そして、バカ女、もといお姉様の興奮しきっている声も背中にあたった。

 はいはい。真昼間からお盛んなことね。

 せめて、寝室に行くまではガマンしたほうがいいわよ。

 一応、王子と王子妃なんだから。

 ここでやっちゃったら、それはただの野獣ですものね。

 この国も、もうおしまいかもしれないわね。

 こうして、わたしは辺境の地へ旅立った。

 あらたな夫になる「ひきこもり王子」のもとへ。