ふんっと鼻を鳴らした。

 っていうか、こんなこと言うつもりなかったのに。

 ただ単純に「助けに来てくれてありがとう。うれしかったわ」って言いたかったのに。

 あっ、それから余裕があれば「カッコよかったわよ」も添えたかったのに。

「なんだと? あれがおれの戦法だ。フラフラして油断させるんだ」
「はいいいいいい? 嘘ばっかり。それに林で子どものときにケガを負ったときの話をしたでしょう? 真実に気がついたのに、教えてくれなかったわよね?」