「おれ一人で充分だ」
「ならば、ハンデをやろう。利き腕でない左を使ってやる」

 クロードはクロードで強がりを言っているし、お兄様はお兄様で嘘をついている。

 お兄様は、右腕が使えない。左腕で戦うしかない。
 だけど、左も右同様に刃物を扱える。それを言うなら、字を書いたり縫物の針を使ったりも左で出来る。

「それはどうも」

 クロードは、将校服の上着を脱ぎ捨てた。それから、腰から長剣を抜いた。