今度は、お兄様が沈黙する番みたい。

 だけど、それもほんのわずかだった。お兄様の引き結んでいる唇が開いたかと思うと、そこから笑声がもれはじめた。

「いや、いいな。こういう反応を望んでいたんだ。『ひきこもり王子』、いや、クロード。どうだ?取引をしないか?きみのうしろにいる二人を渡してくれたら、とりあえずわたしの任務は事足りる。王都に戻らねばならない。追跡軍を引き連れ、いったん戻る」

 お兄様は、息継ぎをしてからまた続けた。